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2009年6月2日

沖電線株式会社
神奈川県川崎市中原区下小田中2-12-8
URL:https://www.okidensen.co.jp/

JAXAが世界初の小型ソーラー電力セイルの実証に向けた探査機に沖電線の長尺FPCを採用

沖電線株式会社(本社:神奈川県川崎市、社長:服部 隆)は、このたび全長14mFPC(長尺フレキシブルプリント配線板)を、JAXA(宇宙航空研究開発機構)に納入しました。JAXAは実用化に向けたる小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」(注1)に沖電線の全長14mFPCを採用し、太陽光エネルギーによる動力確保などの実証実験を宇宙で行い、世界初の実用化を目指します。

当社の長尺FPCは、「IKAROS」のセイル(帆)部分に搭載され、展開する1辺が14m、面積が200㎡の正方形で膜面(写真1参照)上に貼り付けられた薄膜太陽電池や各種センサ等の配線として使用されます。FPCで配線されたセイルは、X字型に折り畳まれた後に円筒形の小さな機体に巻き付けた状態で打ち上げられ、宇宙空間で再び開いて正方形のセイルになります。それにより「IKAROS」は光の粒子のみで小型ソーラー電力セイルを使い航行できるようになります。

小型ソーラー電力セイルの実現には、軽量・省スペースに加え、宇宙での過酷な環境に耐えうる配線素材の登場が求められてきました。従来、ケーブルが配線材料として採用されていましたが、「1グラムでも軽く、1ミリでも薄く」する必要があり、軽薄の特長を持つFPCが着目されていました。沖電線は長年に亘る長尺FPCの実績から採用検討に入り、数ヶ月に及ぶ過酷な信頼性試験(放射線など)を繰り返し、継ぎ目のない長い一条物の要求をFPCで実現するとともに、従来のケーブルに比べて100分の1以下の軽薄化に成功しました。

また、当社の長尺FPCは、当社生産方式の特長である シートライン(注2)と ロールライン(注3)の2ラインの独自に開発した特殊穴あけ装置、大型露光装置、連続加工式熱プレス装置、NC制御大型外形加工装置 等の設備群から、製品仕様に最適な装置を各ラインからセレクトするオリジナル生産方式(パートリーロール生産方式)から造りだされます。そのため、信頼性が高く高品質な長尺FPCが可能となり、かつ短納期対応とお客様の多用なニーズに迅速に応えられることが実証され今回のJAXAの採用につながりました。

今後も、沖電線ではお客様との長年の信頼関係を維持し、さらに今回のJAXAに採用された実績に基づき、最先端技術の開発に注力し、本製品を各分野(医療機器、産業機器、車載機器など) に向けて積極的に販売していきます。

なお、本製品は6月3日(水)から6月5日(金)まで東京ビッグサイトにて開催される「FPC技術展 JPCA Show 2009」(http://www.jpcashow.com/show2009/index.html)(ブース3E-10)に出展します。

本製品の主な特長

  1. ご希望の長さが可能です。
    • 最大100mまで製造可能
  2. 用途に応じた仕様が可能です。
    • 各種シールド材の付加
    • 部品実装
  3. 環境特性(防湿、低アウトガス)などの要求には、新素材での対応が可能です。
    • LCP(液晶ポリマー)、PEN(ポリエチレンナフタレート)他

主な仕様

項目 仕様 項目 仕様
製品幅(最大) 250mm 層数 1~2層
導体幅(最小) 100µm 曲げR 0.5R(高柔軟型)
IKAROSのイメージ、14mのFPCが組み立てられている様子

用語解説

  • 注1:ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」

    超薄膜の太陽帆を軌道上で展開し、太陽光エネルギーでの工学実験で、「IKAROS」は帆だけで航行できることの実証実験を行う。

  • 注2:シートライン

    シートカット材料でFPCを製造するラインで、小回りの利いた有人処理ラインとなっています。

  • 注3:ロールライン

    ロール材料でFPCを製造するラインで、人を拘束しない自動処理ラインとなっています。

  • ※1 本文に記載されている会社名、製品名は一般に各社の商標または登録商標です。
本件に関する報道機関からのお問い合わせ先
総合企画室
電話 044-754-4353
本件に関するお客様からのお問い合わせ先
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