2009年4月15日
沖電線株式会社
神奈川県川崎市中原区下小田中2-12-8
URL:https://www.okidensen.co.jp/
沖電線株式会社(社長:服部 隆 本社:神奈川県川崎市、以下沖電線)と首都大学東京(学長:原島 文雄 東京都八王子市南大沢1-1、以下首都大学)は、このたび世界で初めてサージ(瞬間的に発生する過電圧ノイズ)抑制線と回生モジュールとの組み合わせにより、インバータのスイッチングに起因するµサージを超小型で抑制する新方法(国内外共同特許出願中)を開発いたしました。
これにより従来のフィルターに比べサージ抑制に伴う消費電力を最小限(従来フィルターに比べ1/30以下)におさえ、体積を15KWクラスで1/80以下に、µサージノイズを90%以上抑制する超小型のµサージ抑制ユニットを実現しました。当社は本商品「ecoサージ™µ」を本年7月より発売する予定で、4月15日~4月17日に開催されるTECHNO-FRONTIER 2009(EMCノイズ対策技術展)に出品いたします。 (沖電線ブース番号:5421)
近年、工作機械等の高精度化と高速動作に伴うインバータのスイッチング速度の高速化に加え、電力効率改善のための適用電源電圧の上昇に伴い、インバータ駆動ケーブルと駆動負荷のインピーダンス(注1)の違いから生じるµサージのレベルが大きく成り、周辺回路の誤動作やインバータの駆動負荷に悪影響が出ています。これらは、たとえばモータコイルの絶縁劣化を発生させてダメージを与えており、モータの寿命にも影響を与えています。
この対策として、従来はインバータと駆動線の間にフィルターを使用し、動力信号波形のサージを鈍らせてサージエネルギーを熱として消費していました。しかしながら、この方式では駆動電力増大に伴い、フィルター内の部品であるコンデンサーやコイルなどに高価で形状が大きい大電力対応品を使う必要があり、設置スペース、価格、抑制消費電力の増加が問題となっていました。
当社では、これに対し、サージ波形のみを熱に変えることにより、従来のフィルターに比べ大幅に小型化したサージ抑制ユニットとケーブルを既に製品化していますが、今回、さらなる小型化を目的に首都大学と共同開発を行いました。当社の得意な耐ノイズケーブル設計技術力と、首都大学・清水敏久教授(電気電子工学専攻)の電力ノイズ対策回路技術力により、小型の回生モジュール(遅延補正回路+整流回路)とサージ抑制線技術を組み合わせ、サージエネルギーのみをインバータ入力側に高効率に回生(注2)することで、抑制に伴う消費電力を最小限(従来フィルターに比べ1/30以下)にしたサージ抑制方式の開発に成功しました。
これにより、従来のフィルター(注3)で必要だった大電力のコンデンサーやコイルが不要となり、抑制に伴う消費電力が小さく熱の発生が少なくなったため、従来フィルターに比べ超小型のµサージ抑制ユニット「ecoサージµ」が実現しました。また、回生モジュール内でサージ波形の遅延を補正することでµサージノイズを90%以上抑制することが可能となりました。
今回、開発した「ecoサージµ」は、従来、配電盤内にスペースが無くてサージ対策が取れない場所へも設置ができるようになります。また、 最近の省エネ化に伴う従来モータへのインバータ適用によるサージ対策にも有効となり、非常に広範囲な用途に適用することが可能となりました。さらに、新設は勿論、既設配線系の信頼性向上を目的に後付けで設置することも容易にできます。
今後とも、当社は耐ノイズ製品の品揃えを充実し、先端技術の開発に注力し、お客様のニーズに幅広く応える商品を提供していきます。
サージ遅延補正回路+整流回路によりサージエネルギーを回生するサージ抑制方式のため
代表例(15KW対象で)
外形・寸法: 100x90x40mm
重量:300g
本製品は 欧州の「RoHS指令(注5)」対象物質である6物質を全廃しています。
2009年7月
2009年1億円
2010年5億円
インピーダンスとは端的に言うと交流信号での電気抵抗値で、電線、ケーブルのインピーダンスとは交流信号での電気抵抗値です。
インピーダンスの値は抵抗だけでなくL(インダクタンス)、C(キャパシタンス)の総計です。
当社の現状のサージ抑制品はサージノイズをサージ抑制線で効率良く熱に変えて抑制していたが、この方式だと熱発生により小型化が難しく、低価格化にも限界があった。本方式はサージ抑制を熱に変換するのではなく、サージ電圧を効率良くインバータ入力に戻すことで抑制することにより電力損失が発生しないため、損失ゼロで大幅な小型化が可能と成り、さらに他のノイズ対策適用可能性のある画期的方式である。
従来フィルター体積:30cm×30cm×33cm=29700(cm3)
ecoサージµ™:10cm×9cm×4cm=360(cm3)
現状サージ抑制品比:29700/360=82.5
従来フィルター品比:1/(26.2×3)=1/82.5
Restriction of the Use of Certain Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment(EU指令「電気電子機器の中の特定有害物質の使用制限指令」)。
電気電子機器を対象として、2006年7月1日以降にEU加盟国で発売する製品への6化学物質の使用を禁止しています。
対象となる6化学物質は、鉛、六価クロム、カドミウム、水銀、2種類の特定臭素系難燃剤(PBB、PBDE)です。