2010年3月9日
沖電線株式会社
神奈川県川崎市中原区下小田中2-12-8
URL:https://www.okidensen.co.jp/
OS-UZワイヤ
沖電線株式会社(社長:服部 隆 本社:神奈川県川崎市、以下沖電線)は、このたびワイヤカット放電加工機(※1)用の亜鉛メッキ電極線(※2)「OS-UZワイヤ」を開発し、2010年4月より販売を開始します。
OS-UZワイヤは、高速加工と高面精度を両立させる独自の四層構造を持つ電極線で、部品加工業界や金型加工業界の要望にこたえて開発されたものです。本製品を利用することにより、加工の生産性向上、電極線使用量の削減、設備運用コストの圧縮が可能となります。
従来、放電加工での生産性を高めるには、熱拡散電極線(※3)を使う方法がありましたが、熱拡散電極線は構造が複雑なため黄銅電極線に比べて価格が高いことが課題でした。沖電線ではこの問題を解決するために、黄銅を中心層とし、その周囲に亜鉛比率の高い黄銅層を配し、さらに外層に亜鉛と薄い特殊被膜層を被覆した四層構造を開発しました。このような独自の構造と製法により、既存の熱拡散電極線よりも価格を低く抑えることができました。
性能の面では、従来の黄銅電極線と比較して、一次加工時(荒加工)の加工速度が30%程度向上し、同時に従来の黄銅電極線に比べ、面精度(※4)や位置決め精度(※5)などのワイヤ特性も向上しています。また特殊被膜により、さびの発生を抑えてワイヤの保存性を改善するとともに、新開発の伸線加工技術により、従来の黄銅電極線に比べて金属粉の付着(※6)の少ないワイヤを実現しました。
加工速度の高速化により、お客様における加工の生産性向上が図れるだけでなく、電極線の使用量も削減できます。さらに加工時間の短縮に伴って放電加工機の稼働時間も短縮でき、他の消耗品などの運用費用も圧縮できます。
本製品の販売は、2010年4月より、高速化のニーズの高い部品加工が多い米国と、金型加工市場が急拡大する中国を中心に開始し、2010年10月以降は、全世界の市場に向けて拡販していく計画です。販売目標は、2010年度は150トンを予定し、将来的に年500トンを目指します。
沖電線では、今後ともお客様の部品加工・金型加工市場における生産性向上や工期短縮の要望にこたえ、より付加価値の高い電極線を開発・提供していきます。
髪の毛ほどの太さのワイヤを使って金属を加工する機械。加工は電気の力(雷のような放電現象を起こしてそのとき発生する熱)で、金属を溶かして切断する。ワイヤ放電加工は加工物と接触しない非接触加工かつ溶融加工のこと。
ワイヤカット放電加工機で使用される金属製のワイヤ。一般に銅65%、亜鉛35%の合金である黄銅が使用される。
銅または銅合金に亜鉛めっきを施した後、熱をかけることで、銅-亜鉛合金を形成させた多層構造の電極線のこと。
ワイヤカット放電加工機で加工された被加工物の加工面の平滑性を指す。加工面の凹凸が少ないほど面精度は良い。
ワイヤ放電加工において被加工物と電極線の相対位置の位置検出精度のこと。
ワイヤの走行により発生する金属粉がガイド類に堆積して不具合を起こす。