2008年10月16日
沖電線株式会社
沖電線株式会社(社長:服部 隆 本社:神奈川県川崎市、以下沖電線)とファナック株式会社(社長:稲葉 善治 本社:山梨県南都留郡忍野村、以下ファナック)は、このたび業界で初めて独自のケーブル構造により、インバータのスイッチングに起因する伝導ノイズの影響を大幅に低減させることが可能なモーター駆動ケーブル(国内外共同特許出願中)を共同開発しました。本商品(商品名:対称形モーター動力ケーブル「SYMシリーズ [60KB]」は従来のサーボモーター駆動ケーブルに比べ、伝導ノイズ電流の回収効率を約2倍以上(当社評価比)に上げる事が可能です。なお販売は本日をもって開始します。
近年、インバータのスイッチング速度の高速化に伴い、伝導ノイズが大きくなる傾向にありますが、従来の駆動ケーブルはアース線インピーダンス(注1)が大きいためにノイズ電流回収効率が悪く、伝導ノイズにより周辺機器に誤動作を与えやすく成っているのが現状です。この対策としては、太いアース線や複数のアース線の並列接続、編組線やシールドケーブルを適用するのが一般的ですが、シールドの被覆はコストアップの要因になり、外径は太く硬く、さらに面倒なシールド被覆処理が必要なため、施工性も悪化させていました。
今回、沖電線とファナックが共同開発したノンシールドモーター駆動ケーブルは、アース線のインダクタンス(注2)を小さくすることで、高い伝導ノイズ電流 回収率(注3)を実現したものです。これにより従来のシールドケーブルと同等のノイズ電流回収効率を維持し、最大15%の細径化で最大20%の軽量化を実 現しています。また、端末加工で面倒なシールド処理を不要とし、シールドを使用していないため柔軟性が増し、配線施工性が大幅に改善できます。
沖電線では環境保全活動にも積極的に取り組み、有害物質を含まない製品開発を進めています。本製品についても、 欧州の「RoHS指令(注4)」対象物質である6物質を全廃しました。
代表例
インピーダンスとは端的に言うと交流信号での電気抵抗値で、電線、ケーブルのインピーダンスとは交流信号での電気抵抗値です。
インピーダンスの値は抵抗だけでなくL(インダクタンス)、C(キャパシタンス)により決まります。
アース線自体の構造と動力線との位置関係で決まるインダクタンス(L)をいいます。抵抗のみでは周波数が増加してもインピーダンスは増加しませんが、インダクタンス(L)は周波数増加とともに増加します。
それ故、高周波成分を含むサーボ信号伝送ではアース線の抵抗よりインダクタンスの影響が大きくなります。
モーター側で発生したノイズを動力線のアース線を介して回収できる度合いを意味します。
Restriction of the Use of Certain Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment(EU指令「電気電子機器の中の特定有害物質の使用制限指令」)。電気電子機器を対象として、2006年7月1日以降にEU加盟国で発売する製品への6化学物質の使用を禁止しています。対象となる6化学物質は、鉛、六価クロム、カドミウム、水銀、2種類の特定臭素系難燃剤(PBB、 PBDE)です。